第9章 忘れられた子どもたち
「──ねえ、真砂子。どうしてもう会えないって思うの?」
麻衣は今まで気になっていた事を聞いた。
あたしも知りたくて、ただ無言で真砂子へと視線を向ければ彼女は笑みを消してから呟いた。
「……感ですわ」
「うそだ」
「……言えません」
「真砂子の知ってるナルの弱みに関係アリ?」
「存じ上げません」
真砂子は言うつもりがないらしい。
そんな彼女に麻衣は頬をふくらませて『ケチ』と言う。
「あたくし、たぶん麻衣が知りたいことを全部知っていると思いますわ」
「え!?」
麻衣は無言で驚き、あたしは思わず声を上げる。
「でも、言えないんですの。言わないとナルとリンさんとも約束したんですもの」
「ど、どうして真砂子だけ知ってるの?」
「あたくしはたまたま知っていたんですわ」
真砂子はナルの何を知っているんだろう。
麻衣が知りたいこと……というのは、家や電話番号や家族構成だったりするのだろうか。
何故、真砂子は知っているんだろう。
たまたまというのはなんだろう……そう思いながら、真砂子を見つめる。
「……ねえ。最初に会った時真砂子こう言ってたよね」
『あたくし、以前貴方にお会いしたことがあったかしら?』
「そういえば真砂子、ナル見てそう言ってたね」
初対面の時、真砂子はナルにそう言った。
まるでナンパみたいだと思っていたけど、今はそうじゃないと分かる。
「そんなことを言いましたかしら……」
「言った。そういうこと?どこで会ってたの?」
「……そういう言い方はできますわね」
「はあ?はっきりしないなあ」
「ナルはずっとここを捜していたんですの。オフィスがあったのも全部その為。だからもう会えないかも」
「……あたしが?」
「いいえ。あたくしも結衣もですわ」
その言葉の意味を、あたしはまだ理解出来ることが出来なかった……。
ー翌朝ー
「──どうせ、ナルもリンさんも要らないっていうよ」
「一応声ぐらいかければいいでしょ。減るもんじゃあるまいし」
朝、綾子が朝食を作ってくれているのだが麻衣が少々駄々を捏ねているかのように呟いていた。
綾子がナル達に『ご飯いるか聞いてきて』と言ったのが始まり。
「減るもん」
「なにが?」
「だってまた嫌味とか言われるもん!綾子が行けばいいじゃん」