第9章 忘れられた子どもたち
ナルとリンさんはあたし達とは完全に別行動。
あたし達より先にそそくさとバンガローを借りて、いつの間にか姿を消していた。
バンガローは八畳に小さな板の間のキッチンがあり、あたしと麻衣が住んでるアパートと大差ない。
違いがあるといえば、広いウッドデッキがあって木製の長めのテーブルと椅子があるところだろうか。
「──ところで、自炊しなきゃいけないわけだけど……あんた達料理なんかできるの?」
台所のシンクに寄りかかりながら、綾子は溜息をつく。
「うんとカンタンなものなら」
「あたくしは……あまり……」
「結衣は?」
「あたしが基本的に料理担当だから、ある程度のなら作れるよ?難しいのは流石に無理だけどね」
「つまり結衣以外は使えないわけか……。男どもはアテにならないし。なんにしても買い出しにいかなきゃならないわ。馬鹿坊主に車だしてもらって買い物してきて。メモつくるから」
綾子の書いたメモを手にして、麻衣と共に隣のバンガローへ。
男連中のバンガローはあたしたちが寝泊まりするバンガローのすぐ隣である。
ちなみにナルとリンさんのバンガローはもっと奥にある。
「おっじゃましまーす……」
「お邪魔しまーす。ぼーさーん」
勝手口みたいな玄関のドアをノックする。
返事がないなと思っていれば、ぼーさんの声がきこえた。
「──だから、ナルは決定打だと思うわけだよ」
決定打だとは何の話だ。
あたしと麻衣は顔を見合せながらも、板の間と和室の間を敷居っている扉をノックした。
「あのー」
「ぼーさんたちー?」
模様ガラスには人影の姿。
その人影が慌てたように動いてから直ぐに扉か開いて、焦った表情のぼーさんが出てきた。
「──なんだ、結衣と麻衣か」
「綾子が買い物に行けって。なーに?また男三人でヒソヒソ話ー?」
「最近多いねぇー」
ちらりと中を覗く。
安原さんとジョンはちょっと気まずそうにしている。
「あっ、そしたらボクもお手伝いしますです」
「じゃあ、ぼくは荷物の整理でも」
なんか、コソコソというよりとソワソワという方が正しいような気がした。
調査の結果ではあるが、料理が出来るのはあたしと綾子とぼーさんの三人だけである。
人数に対して料理が出来る人間が少ない。