第7章 血ぬられた迷宮
「……少しだけ、抱きしめてほしい……。安心するから……すごく」
思いかげない言葉に法生は少し驚いた。
だが直ぐに微笑むと彼女の小さな体を抱きしめてやる。
すると安心したように彼女の体から力が抜けるのを感じた。
「いつでも抱きしめてやる。結衣がそれで落ち着くなら、安心するなら」
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ー結衣sideー
翌朝のこと。
あたしと麻衣は変わらずきびきびと働いていた。
「……なー。結衣、麻衣。ほんとに大丈夫かあ?ベースに戻ってもいいんだぞー?」
あたしは結局寝ることはなく、ずっと朝になるまで起きていた。
それはぼーさんも同じだが、彼はあたしと麻衣を酷く心配してくれていた。
「んーん、へーき。体動かしてる方が気がラクだもん」
「あたしも。体が動かしたり働いていると、夢のこと忘れるしね」
「そーか?」
「そだよ。さっ、お仕事しよ。データが揃えばその分行方不明の人を捜しやすくなるかもってナルも言ってたじゃん」
「それより、ぼーさんは平気なの?あたしに付き合って起きてたけど……」
ぼーさんはあたしが起きると言っていたので、それに付き合って起きてくれていた。
話し相手になってくれたり、頭を撫でてくれたりと色々落ち着かせてくれたり安心するようなことをしてくれた。
「おれはへーき。頑丈だしな」
「ほんと?」
それでも無理していたら辛いはず。
心配で彼を見あげていれば、くしゃりと頭を撫でられた。
「だいじょーぶ。心配ご無用ですよ、お嬢様」
「お、お嬢様って……」
「結衣が笑ってくれてなら、尚更平気だな。おにーさん、結衣ちゃんが笑ってると嬉しーいからなあ」
その言葉はあたしのセリフでもある。
ぼーさんの笑顔を見てると、あたしも嬉しい気持ちになる。
こんなこと言えないけれど。
「──……あの、ちょっといいですか。谷山さん達にはイヤな夢を思い出しちゃうので申し訳ないんですけど……」
「い、いいよう気を使わなくて」
「そうだよ。あたしたち平気だから。どうしたの?」
「鈴木さんか厚木さん……もう生きてないってことはありまえませんか?」
安原さんの言葉に、あたし達は目を開く。