第7章 血ぬられた迷宮
「ど、どうしたのよ」
綾子が心配そうにしていると、勢いよく扉が叩かれる音がした。
「おい、どうした、大丈夫か!?」
声の主は法生である。
真砂子は慌てて扉に駆け寄ると、法生と安原とジョンの姿があった。
「なにがあった!?……麻衣?」
結衣に抱き着き、綾子に頭を撫でられながら泣き続けている麻衣を法生は見た。
「……夢……怖い夢……見た……」
「夢!?っておまえ〜〜あんな凄まじい悲鳴あげるからなんかあったかと思うじゃねぇか。……例の夢か?」
「……だと思う……結衣は見た?」
麻衣は涙を流しながら結衣を見上げる。
その問いに結衣は小さく頷きながらも、体が震えていることに気が付いた。
麻衣と同じ夢を見た。
同じ殺されてしまう夢を。
怖かった、怖くてたまらない、怖い。
そんな気持ちがあったが、麻衣を落ち着かせようとする気持ちが優先で泣くことなんて出来なかった。
「二人してまた同じ夢を見たのか……。いったいどんな夢を見たんだ?」
「──……あたしが、殺される夢。お……男の人が二人来てね、変なタイル張りの部屋に連れてかれたの。そこ血だらけで……手術台みたいなのに縛り付けられて、大きな包丁で喉を切られて、血が──」
そこで法生が辞めさせるように麻衣の頭を撫でた。
「もう、いいよ。思い出させて悪かったな」
その言葉にまた麻衣は泣き出し、結衣は背を撫でる。
同じ夢を、まったく同じ夢を見たんだと思いながら。
(やっぱり、同じ夢だった。あたしと麻衣は二人揃って殺される夢を見たんだ……)
身体の震えを誤魔化すように麻衣を抱き締める。
そうじゃなかったら、泣き出しそうで怖くてたまらない。
今泣いたら麻衣が心配してしまう、法生たちに心配をかけてしまうと思いながら必死に結衣は我慢した。
暫くしたぐらいだろうか。
扉が開いて、ナルとリンが入ってきた。
(ナル……)
ナルは珍しく黒い服装ではなくパジャマだった。
その服装に双子は驚いたようにしていたが、ナルの手にティーカップがあるのに気付く。
そしてナルは麻衣へとそれを差し出した。
「大丈夫か?」
紅茶の香りがする。
麻衣はそれに落ち着いたようで結衣はほっとした。