第7章 血ぬられた迷宮
「『此処に来た者は皆死んで居る』……ここというのは当然この山荘のことだろう。ここでなにがあったのか──『浦戸……さ……た聞く』それの意味が分かれば……」
「……一つだけ、分かることがありますわ」
真砂子が俯きながら呟く。
「え?」
「なにが?」
「もうお忘れになりましたの?降霊会で霊がいった言葉です」
真砂子の言葉に双子は思い出す。
降霊会の際に紙に大量に書かれた『助けて』という言葉を。
「きっと、あれはここに来て死んだ人達の霊なんですわ」
その夜。
結衣は何となく寝付けずにいて、天井を見上げていた。
深夜に近い時間帯なのだろうけれど一向に眠気が来ない。
『あれはここに来て死んだ人達の霊なんですわ』
脳裏に浮かぶのは真砂子の言葉。
この家で死んだ人……と思いながら、あのコートを思い出す。
あのコートの持ち主を死んでしまっているのだろうかと考え込む。
(でも、なんで病院じゃないの?あれは病院の支給品なのに、なんでこの山荘にあったんだろう)
それに、『人達』ということは死んでいるのは一人では無い。
もしかしたらと結衣の中で嫌な想像が浮かぶ。
(行方不明者の二人や、鈴木さんと厚木さんも……)
そんな時、耳鳴りがした。
同時に身体が動けずにいて、直ぐにこれが『金縛り』だと言うことを思い出す。
(あ、でもナルがなんか言ってたや)
『よくある金縛りのほとんどは、体と脳の神経がうまく繋がらない状態──頭は起きていても体が起きていない時におこる生理的な現象だ。心霊現象とは関係ない』
(怖いことじゃないって言われてるから、平気だけど……)
ということは、今自分は頭は起きているが体は起きていない状態なのだろう。
なんて冷静に考えていると、扉のドアノブが回される音がした。
思わずそちらを振り向いて、結衣は冷や汗を浮かべる。
(……頭、動いた。ナルは、寝ぼけた時の金縛りは身体がまったく動かないって言ってたよね?)
ではこれは何だ。
そう思っていると、扉がゆっくりと開いて二人の男が中に入ってきた。
暗闇のせいで顔はよく見えない。
背筋がゾクリと震える。
(綾子……真砂子……麻衣ッ。起きてない?気づいてないの!?)