第7章 血ぬられた迷宮
「「此処に来た……は」は『者は』かもしれない。『此処に来た者は皆死んで居る』じゃないのか」
法生の言葉に双子が目を見開く。
言葉にある『死んでいる』その言葉に息がまるで止まるような感覚があった。
「──じゃあ、最後の一文は簡単よね。これは誰かにあてたメッセージなんだわ。『此処に来た者は皆死んで居る……逃げよ』」
綾子がそう呟いた時、窓からノックの音が聞こえた。
慌てて全員がそちらを振り向くと、そこにはまたまどかの姿があったのだ。
「まどか!来るなと言ったろう!」
二度目のまどかの訪問に、ナルがほんの少し声を強くさせた。
「あら、勿論危険は無いから来たのよ。わたし、ナルほどお馬鹿じゃありません」
ナルに『お馬鹿』と言えるのはまどかだけだ。
誰もがそう思った。
「……危険がない?」
「だってここ、子供の遊び場なのよ」
「へ?」
「子供の遊び場?」
「この家の前庭って広いでしょ?近くの子供が野球やサッカーの練習に使ってたらしいの。流石に二月の失踪事件があってからは辞めてるみたいだけど」
そういえば……と結衣は思い出した。
この屋敷に入る前に、前庭があったが確かにかなり広かった。
下手すれば小さな公園ぐらいの大きさなのではないかも思ったぐらいである。
「もちろん、行方不明になった子なんていないの。つまり危険なのは家の中だけで、外は大丈夫なのよ」
「それは昼間の話だろう?」
「ゴーストハントに多少の危険はつきものでしょ。では、本日の報告をします」
ナルが負けている。
双子はなんとも言えない表情で、頭を抱えているナルを遠くから眺めていた。
「ええと、厚木さんもこの辺りでは姿を目撃されてないわね。バスとタクシーも使ってないと。で、美山親子についてわかったことを少々。まず鉦幸氏ね。彼はすごく潔癖な人だったようよ。むかし製糸工場で職員の一人が工員の給料を誤魔化したって事件があったらしいんだけど──まずその職員は有無を言わさずにクビ。それだけじゃなく、その長男が同じ工場にいたんだけどこれもクビ」
まどかの言葉に全員が驚いた表情を浮かべた。
「三男だかが、病院の職員でこれもクビ。おまけに彼らが住んでいた家も鉦幸氏の持ち物でね、家からも叩き出したてそのうえ──」
「……まだあるのか!?」