第7章 血ぬられた迷宮
ナルとリン以外の全員が応接室に集まっていた。
皆が厚木という青年の行方不明の話を聞いて、顔色を少し悪くさせている。
「あの……南さん」
五十嵐が不安げにしながらも、頭を抱え込む南に声をかけた。
「デイヴィス博士に何とかしていただくわけにはまいりませんの?博士のご都合が悪いようでしたら、誰か他の方に助けていただくようには……」
「あ……いや……、しかし……みんな忙しい方ばかりだし、だいいち外国にいますから……」
「南さん!緊急事態ですよ!?二人の人が消えて、そのうちの一人はあなたの助手でしょう?それとも最初に有名な能力者の協力をあおげると仰ったのは嘘ですの!?」
「どうせ口からでまかせなんだろう?連中と知り合いなどと大口をたたきおって。そこにいるデイヴィスとやらも本物かどうか怪しいもんだ」
「なっ……!」
井村の言葉に南は激情するかのように立ち上がった。
「ぶっ……侮辱にもほどがある!わたしだけではなく、博士まで貶めるようなことを仰るとは!結構です、この事件は独力で解決します。さっ、博士いきましょう!」
見るからに慌てている。
もしかしたら、井村の言葉通りあのデイヴィス博士は偽物だったりして……と結衣は考えた。
大体、南自体が胡散臭いのだ。
偽物を用意していてもおかしくは無いと思いながら、隣にいた法生を見上げると、デイヴィス博士が居なくなったことに少ししょげていた。
「ねえ、やっぱり南さんって胡散臭いよね」
「そうね。──いわれてみればあの博士が本物って証拠ないわよね」
「井村さんの言う通り、偽物だったりして」
ベースに戻った結衣と綾子はそう話し出す。
そんな彼女達に法生は眉を少しだけ寄せていた。
「おいおい、なんだよ二人して急に」
「だよね、南さんが言い張ってるだけだもんね」
「あらら、麻衣ちんまでそんなこというの?」
「だって、博士のこと凄いって言う割に凄いとこ一回も見せてもらってないもん。それもこんな時にだよ?」
「普通はさ、こういう時こそすごい力を見せるもんじゃないの?」
双子の言葉に法生はたじろいだ。
「そりゃ、そうだけど……」
「それはそれとして、南さんはああ言ったけどぼくたちも厚木さんを捜したほうがいいですよね」
「さいですね」