第7章 血ぬられた迷宮
(なんだが、あの人麻衣と被る……)
何となく麻衣とまどかが似ているような気がした結衣は苦笑を浮かべるのだった。
「……このコートが支給品らしいってのは確認できたが、なんでここにあるかってのが謎のままだな」
法生はコートを確認して、ナルはあの古びた紙幣を眺める。
コートが何故美山邸にあり、紙幣に書かれている言葉は何を指しているのか。
謎は深まるばかりであった……。
(なんか、嫌な感じがするな……)
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結衣は一人、暗闇の中に立っていた。
どこを見渡しても誰もいなくて、明かりなんてなくて、ただ暗闇が続いている。
麻衣もナルもいない。
ならば例の夢ではないのだろうか……と悩む。
そんな時、遠くの方でボウ……と光が見えて人影が見えた。
(麻衣……?ちがう、誰だろ)
その人はフラフラと何処かへと歩いていく。
それを見た結衣は、何故か背筋が凍る感覚に襲われた。
同時に『行ってはダメ』という気持ちが膨れていく。
「駄目……!駄目だよ、そっちに行っちゃ……」
声が届いていない。
人は何処かへとまだ歩いている。
「戻ってきて!お願い、そっちは駄目!」
そちらに行くと悪いことが起きる。
何故かそう思った時、激しく扉が叩かれる音で結衣は目が覚めた。
その音には他の麻衣や綾子達も目を覚ましているようで、唸る声が聞こえる。
「はい……?」
麻衣が起きるのが早く、彼女は扉の方へと向かう。
それを起き上がった結衣は不安げに見る。
「す……すみません、わたしです。南です」
南が何の用なのだろう。
不安そうにしていれば、麻衣が扉を開けた。
すると南が焦った表情で麻衣に尋ねた。
「あ……厚木くんを知りませんか!?」
「えっ、だ、だれ……」
「うちの助手です!ちょっと目を離した隙にいなくなって……もう二時間も捜しているのに見つからないんですよ!」
四人目の行方不明者が出た瞬間だった。
「まったく……どうなっとるんだ、この家は!!」
朝日が差し込む応接室にて、井村が大橋にそう強く言う。
南は助手が行方不明になったせいなのか、頭を抱えてしまっていた。
そんな光景を結衣達は離れた所のソファで見ていた。