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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


「調査結果を知らせようと思って来たの」


のほほんとした微笑みを浮かべながら、まどかはナルの手を借りて窓から中に入ってくる。
そんな彼女をナルは叱るように言葉を発した。


「そんな危険なことを。なにかあったらどうするんだ?」

「あら、ナルが助けに来てくれるでしょ?」


まどかはやっぱり強い。
結衣はこんな強い人間初めて見たかもしれないと、苦笑を浮かべた。


「じゃ、さくさくいきましょ。ええと、まず今朝連絡があった鈴木さんのことね。この辺のバス、タクシー会社に問い合せたところ、それらしき人を乗せたり見かけたりした運転手はいないみたい。ヒッチハイクの可能性もなくはないけど──やっぱりこの家から出てないんじゃないかな」


どうやらナルはまどかに調べるよう連絡していたらしい。
いつの間にそんなことをと結衣は驚きながらも、それと同時に眉間に皺を寄せた。

やはり鈴木はこの家から出ていない。
つまり、例の二人と同じでこの家で行方不明になったのだろうと考えた。


「先に消えた二人については?」

「はいはい。最初に消えたのが松沼英樹十八歳、無職。二月十三日の夜、友人七名とここにきて消息を絶ったの。部屋の一つで宴会をしてる時フラフラ出ていって、それきり戻らなかったんですって」


パラパラとまどかは手にしていたメモ帳をめくる。


「一週間後に失踪届が出されて、警察が人手を集めて捜索にきたんだけど松沼くんは見つからず……それどころか帰ろうとしたら一人足りなかったわけ」

「その人が二人目……?」

「そう。消えたのは二十一歳の青年。この中に証言を録音したテープと──ここを建てた美山鉦幸親子の簡単な経歴をまとめておいたから」


まどかは書類入れをナルに手渡す。
それは随分分厚く、彼女はどれだけ調べだのだろうと結衣は不思議そうに書類を見る。


「……美山氏は『美山慈善病院』という保護施設がついた病院を所有していなかったか?」

「え?なんで知ってるの?」


どうやらあのコートは美山氏の所有していた病院の支給品だということを、その場にいた全員が分かった。

まどかはリンに連れられて、窓から出て手を振りながら帰って行った。
そんな彼女に結衣は釣られて手を振ってしまう。
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