第7章 血ぬられた迷宮
「──隠し部屋?」
「うん!ほんとにあったの。しかも、ほら。ここ!」
「部屋の下にあったんだよ」
ベースに戻った結衣達は、ナルに隠し部屋があった事を報告して、双子は図面を指さしながら説明をする。
「部屋の下……」
「壁の厚さが三メートルくらいあるじゃないかって言ってたでしょ?その真上くらいの位置だよ」
「んで、中をざっと調べたらこんなもんがあった」
法生がナルに手渡したのは、白いコートのような物。
黴や埃で薄汚れていて白いところがあまり目立たないぐらいになってしまっている。
「……コートか」
「ここんとこ、見てみろよ。『美山慈善病院付属保護施設』」
コートの裏側にはそう書かれていた。
「……先々代が建てたという病院か。ということは病院の支給品といったところだろうな」
「だと思うぜ。けど、なんでそんなもんがここにあるんだろうなって話しててさ」
「……内ポケットになにかある」
ナルは内ポケットから折り畳まれた紙を取り出す。
薄汚れてよれていて、所々切れかかっているそれを法生が受け取って広げてみた。
「これ、昔のお金じゃない?」
「ホントだ」
それを双子が法生の両脇から見る。
薄汚れているのは今よりも何十年前ぐらいかの前の紙幣だった。
「みたいだな。……ん?なんか書いてないか?」
「なんて書いてあるの?」
「えーと?──よ……げ……く……聞ー……?た・さ……に浦……る、居……死……皆・は──来?処……」
「なにそれ日本語!?」
「ほんとにそう書いてあんだって!」
とても日本語とは思えない言葉である。
結衣は法生から紙幣を受け取ってから、書かれている文字を読んでみるが、薄汚れているせいでほとんど読めやしない。
読んでみようと苦戦してみる。
だが、やはり法生が言った言葉通りになってしまうのだ。
「なんのために、こんなことを……?」
「たまたま手元に書くものがこれしかなかったんじゃないのかー?」
「……でも、なんか『死』って書いてあるのはなんか……」
結衣の言葉に麻衣も頷く。
「まあ、平穏ではねぇな」
何のために紙幣に書いたのだろうか。
そう思いながら結衣は紙幣をテーブルの上へと置いた。