第7章 血ぬられた迷宮
ナルはその紙を受け取ってから、双子に見せてきた。
「なに……?」
「なっ……!?」
その一枚だけ、赤い色で字が書かれていた。
『死ニタクナイ』
一枚だけそう書いてある。
全ては『助けて』と書いてあるというのに。
「──なんで、これだけ赤い字なの……?」
「文字も……違う」
ナルはビデオを確認しようと言い出し、南とデイヴィス博士以外の全員がベースへと向かった。
リンはパソコンの前に座り、ビデオを巻き戻していた。
「ラップ音の開始とほぼ同時に温度が下がり始めていますね。天井部から徐々に最終的には全体で三度ほど下がっています」
「どんな感じでした?」
ナルは鈴木へと声をかける。
彼女は驚いているような、少し困惑しているような雰囲気だった。
「あの……腕をマジックに引っ張られるような……手を離したらマジックだけどこかにいってしまうんじゃないかと思ったくらいです」
画面の中ではデイヴィス博士や南が慌てている姿が映し出されているが、他の三人は落ち着いた様子を見せている。
「少年、結構落ち着いてるなあ」
「そんなに慌ててなかったね」
「ぼくは鈍感ですから」
本当に鈍感なのかと結衣は安原を見る。
「──ストップ!五十三秒まで巻き戻してコマ送りに」
ナルがリンに指示をだし、画面がコマ送りになる。
鈴木の足元に一枚の紙がゆらゆらと落ちていき、地面に落ちる前に赤い字で『死ニタクナイ』と文字が浮かび上がる。
「……直前までなにも書いてなかったわよね」
そんな時、結衣と麻衣の間に挟まれているようにいた真砂子がフラリと倒れそうになる。
「「真砂子!?」」
慌てて双子が真砂子を支える。
真砂子の顔色はとても悪く、青白い状態であった。
「……ごめんなさい。部屋に戻ってもよろしいかしら。気分が悪くて……」
「あたし、ついてくよ」
「あたしもついてく」
「──松崎さん。一緒についていってください」
「あたしと結衣だけで大丈夫だよ」
「うん。二人で大丈夫だよ、ナル」
どうせ宿泊している部屋はすぐ近くだ。
二人だけでも大丈夫だと思っていたが、ナルはそれを良しとはしなかった。
「だめだ」