第7章 血ぬられた迷宮
「どうぞ、お入りください。ご協力感謝いたしますわ、渋谷さん。実はデイヴィス博士と南さんも参加なさることになりまして……よろしいでしょうか?」
「もちろんです」
用意されているテーブルと椅子。
そこにはデイヴィス博士と南の姿があり、南の手にはビデオカメラが握られている。
デイヴィス博士の姿を見た双子はニヤリと笑う。
そして両側から法生の脇腹を肘で突く。
「よかったじゃーん」
「ぼーさん、デイヴィス博士いるよー」
「う、うるせーなー」
コソコソと話している中で、南は椅子から立ち上がってから薄暗い部屋の電気を見ながら五十嵐に声をかけた。
「ちょっと暗いな。もっと明るくなりませんかねえ」
「『明るく』って……降霊会の時には蝋燭一本だけになりますのよ。霊は明かりを嫌いますでしょう?」
「ええ?そうなんですか!?困ったなあ……」
「暗視カメラはございませんの?記録ビデオを撮ってくださると仰っるからお招きしましたのに……」
「いや、今回はその……」
慌てる南に結衣達は胡散臭い物を見るような目を向ける。
心霊調査会なんて場所の所長をしているわりには、物事をとても知らないような気がした。
「やっぱ、なーんか胡散臭いわね」
「ね」
「ホントに心霊調査会の所長なのかな」
双子と綾子はコソコソと話しながら、眉を寄せる。
一方五十嵐は『これでは撮影ができない』と困ったようにしていたのだが、そこでナルが安原に声をかけた。
「所長。うちのカメラを持ってきましょうか」
「そうしていただけますと、助かりますわ」
ナルはリンに指示をしてから、暗視カメラを持ってこさせて明かりの消えた部屋の撮影を始める。
テーブルの真ん中に蝋燭一本で五十嵐、鈴木、安原、南、デイヴィスが囲むように座る。
鈴木は紙をテーブルに置き、手にはペンを握っていた。
その腕に五十嵐が触れて、他の全員は手を繋いでいた。
「……深く息をして霊に呼びかけてください。この家に住む霊に──。この家にお住まいの方、どうぞこの女性の手を借りてお心を語ってけださいませ。どうぞわたくしたちに語りかけてください。どうぞお心の内を語って聞かせてください。この声をお聞きでしたら、どうぞ語ってくださいませ。どうか──」