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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


そう言われて、結衣は昨日のことを思い出す。
確かに部屋の温度を測ろうとして窓を開けたら壁が出てきて、全員で驚いた。


「人が住むための機能を果たしてないものが多くなってるんです」

「……そうかも」

「言われてみれば、確かに……」

「しっかし、先代さんてのはほんとにここに住む気がなかったんだなあ。見ろよ」


法生は暗い部屋に懐中電灯で明かりを灯し、天井を照らした。


「この部屋にいたっちゃ、窓もねぇや」


この部屋は締め切られている。
そのせいで光が当たらずに暗くなっていて、懐中電灯がないと測量が出来ずに大変だった。


「……さっさと測ってでよう。息苦しくなっちゃう」

「おっしゃ」

「次はズレなきゃいいけどねぇ〜」


測量をし終え、全員は部屋から出た。
先程居た部屋と違って、廊下はとても明るいためその明るさが目を刺す。


「うう、まぶしい……」


双子が目を何回も瞬きしていれば、声をかけられた。


「……ふん。渋谷サイキック・リサーチの連中か。子供がゾロゾロ集まって役に立つのか」


喧嘩をふっかけるかのような言葉を投げかけてきたのは、法専寺の井村だった。
何となく気分が悪くなるなと結衣が眉を寄せていれば、安原が営業スマイルを浮かべる。


「どうも、こんにちは」

「霊能者は経験だぞ。子供になにができる」


近づいてくる井上に、双子と法生はコソコソと喋る。


「誰だっけ?」

「井ナントカってボーサンだろ」

「偉そうだねぇ……」


恐らく安原とジョン以外は名前を覚えていない。


「だいたいおまえ、いくつだ。学生みたいな顔しおって」

「ぼくですか?今年で二百と四十三歳になりました」


とんでもない事を答える安原に全員がズッコケそうになる。


「ぼくのうち、代々長寿の家系なんですよね」

「ひ……人を馬鹿にしおって!それがほんとうならいつの生まれだ!言ってみろ!」

「え、宝暦八年ですけど」


すんなりと言ってしまった安原。
そんな彼に双子は目を見開かせてしまう。


「いやあ、今の若い人はいいですねぇ。ぼくの若い頃なんて年長者にそんな口のききかたしたら殴られてましたよ」


何となく安原がブリザードのような気配を感じ、双子は思わずその場から後ずさった。
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