第7章 血ぬられた迷宮
「うちの学校はもともとバイト可だけどね、生活のためですっていうと休み放題なのさ」
「そーなの、そーなの!」
「ふーん。……じゃあサボりたい日もバイトって言えば──」
「そーそー。好きなだけ休め……」
双子はそこで失言したと気付く。
麻衣の言葉に綾子たちから『アンタら……』という表情をされていた。
「……なるほど。そうやって二人揃って学校をサボってるわけだ。バカになるはずだな」
法生のナルの真似に全員が吹き出す。
そんな光景をナルは横目で見ながら溜息を吐き出していた。
「──とにかく、あと五ヶ所に暗視カメラとサーモグラフィを。同じ場所に集音マイクをセットする。それが終わったらぼーさん、ジョン、安原さんの三人で各部屋と廊下のサイズを調べにいってください。平面図を作成する必要がある。ただし陽が暮れたら引き上げること。麻衣と結衣たちは機材の調整を」
各々指示を受け、仕事に取り掛かることになる。
そして結衣とちらりと法生へと視線を向けた。
『生活に疲れたら何時でも言うんだぞ。おじさんが二人どちらか嫁に貰ってやるからな』
脳裏に法生に言われた言葉が浮かぶ。
彼は本気で言ったのだろうかと少し頬を赤くしながらも、法生の袖を引っ張る。
「ん?どした、結衣」
「ねぇ、さっきの言葉本気?嫁に貰ってくれるって話」
少し照れたように聞いてくる結衣に法生は目を丸くしたが、直ぐににやりと笑みを浮かべて彼女の頭を撫でた。
「本気。結衣がその気なら、嫁にもらってやる」
それが本当に本気なのか分からないが、結衣は顔をほんのりと赤く染めて小さく笑った。
もし本当に彼がお嫁にもらってくれるなら、嬉しいな……と思いながら。
その後、結衣や法生たちは仕事に取り掛かった。
各部屋と廊下のサイズを計測したり、機材の調整をしたり。
そして日没後になる前にベースに戻り、食事を終えた結衣たちは眠りについた。
結衣は何処からか水音が聞こえた気がした。
気の所為だろうかと思っていたが、何度も何度も水が落ちるような音が聞こえてくる。
(誰か洗面所の蛇口開けっぱにしてる……?)
だが先程麻衣がちゃんと蛇口をしめたのを見ていた。