第7章 血ぬられた迷宮
「そだよ」
「あたしたち孤児だよ」
平然と言ってのける双子に、法生たちは目を見開く。
「お、おじさんとかおばさんは……?」
「全然いないよ」
「あたし達の両親、二人とも天涯孤独ってやつだったから」
「おとーさんはあたしと結衣がちっちゃい頃に死んじゃったし、おかーさんも中学のときにね」
「面倒見のいい先生がね、あたし達二人をおうちに下宿させてくれたんで助かったけどね!」
「……それで?」
「それでって?」
「いまは、どうやって生活してんだ」
「自活!」
「麻衣と二人で暮らしてんの!エラいだろー!」
双子はお互いの顔を見ながら微笑む。
そこに苦しさや辛さは見えずに、ただコロコロと笑っているだけだった。
「うちの学校貧乏人には親切だからさ、学費は免除されてるから」
「生活費は奨学金とバイト代でなんとかなるしねー!」
「おまけに最近はバイト代がいいからさー、生活に潤っちゃって……」
法生は双子を抱き寄せて、強く抱き締めた。
「おじさんの胸でお泣き」
「いらん!はなさんかーい!セクハラオヤジー!」
「ぼ、ぼーさん!?」
麻衣は離れようともがき、結衣は驚きと法生の近さにほんのりと赤面していた。
「生活に疲れたら何時でも言うんだぞ。おじさんが二人どちらか嫁にもらってやるからな」
法生の言葉に双子は顔を見合せた。
「それは定職についてから言うセリフでない?」
麻衣の言葉に法生は『うっ』と小さく呟く。
そして麻衣の頭を軽く叩いた。
「かわいくないっ」
その光景に誰もが微笑む。
そんな様子に双子たちは顔を見合せてから笑った。
(怖いのは嫌い。でも、こういう時はずっと調査が続けばいいのにって思っちゃうな……。こういう時間が好き。暖かくてほっとする気持ちになる)
最初はとても怖いのが嫌だった結衣。
だが調査を続けていく時に、暖かくて賑やかな時間がある事に気づいてそれが穏やかな気分になっていくのに気づいた。
麻衣と二人での生活は楽しいけれど、やはり寂しさもある。
だが調査のときに法生たちといれば、その寂しが脱ぐわれるような気がしていた。
「それで二人揃ってバイト三昧できるってわけ?」
綾子の問に二人はにっこりと微笑んで頷いた。