第7章 血ぬられた迷宮
「えー。そんなに凄い人なんだー」
「凄い有名人なんだねぇ」
双子の言葉に綾子と法生は白い目を向ける。
「しょうがないじゃん。シロートなんだから!」
「あたしと麻衣、そこまで詳しいわけじゃないやい!」
それこそ、SPRのバイトを始めてから超能力などを詳しく知ったぐらいだ。
双子は素人であり詳しいわけじゃないのは仕方ないと、怒りながら話す。
「凄いわよぉ。本人は霊に関する研究者だから超能力のほうではあんまし活躍してないケド」
「何年か前に一度だけPKの公開実験をしたことがあるんだよ。ちゃんとした研究所だとそのビデオがあるらしいけどな。どでがいアルミの塊を壁に叩きつけたやつ。見たことないけど」
「あと、アメリカの富豪の息子はんが誘拐された時救出しはったのが有名ですね。土の中に生き埋めになってたのを見つけたとか」
法生と綾子にジョンはデイヴィス博士の話で大盛り上がり。
だが双子はイマイチ話が理解出来ないので蚊帳の外であり、少し呆れたように三人を見ていた。
すると、ナルの冷たい声色の言葉が飛んできた。
「……みなさん、楽しそうですね」
「よう、ナルちゃん。どこ行ってたんだ?」
「むろん、カメラの設置に行ってたんですが?ぼくはここに仕事に来ているもので」
その言葉で、結衣は沢山置かれていたはずのカメラが消えているのに気づき冷や汗を浮かべる。
「すみません!設置やります!」
「すみません、すみません!直ぐにやります!」
「結構ですよ、谷山さん達。女性には重労働ですから」
ブリザードの気配に、双子は背筋が凍る気分になる。
そして法生たちも慌て始めた。
「でっ?どこらへんに置きましょうか、ダンナ!」
「……とりあえず全員が宿泊するあたりを中心に。そこから徐々に半径を広げていって安全圏を確保する。長丁場になるかもしれないが、やむを得ないだろうな」
「だとさ。結衣、麻衣ー。家に連絡して了解とっとけよ。長くなるって」
「いいよ、べつに」
「うん。連絡しなくて大丈夫」
「親が心配するだろーが」
「だって、あたしたちみなしごだもん」
麻衣の言葉に法生達の動きが固まる。
「どしたの?」
「なになに、皆して固まって」
「……みなしご──……って、孤児?」