第7章 血ぬられた迷宮
「博士の著作に『超自然のシステム』ってのがあってさ。その序文にこうある」
『超自然現象研究に関して、化学だペテンだと議論があるが筆者はこれを未だ科学ではないと感じる。ゆえにまず、超自然現象研究を科学として認知させるための研究をおこないたいと考えている』
「つまり、超自然現象はまだ科学じゃないから、科学にするための研究をするってことですね」
安原は理解出来たようだが、聞かされた双子はちんぷんかんぷんであり目眩がしそうになっていた。
「超自然現象を信じる奴は頭っから『これは科学』って言い張るんだよな。逆に反対派はペテンだって決めつけるし。それがさ、博士本人はサイ能力者なんだから超自然現象があるって知ってるわけだろ?思い切ったこというよなあ」
「さいですね。事実、その本かて凄くきちんとした研究書でしたし」
「そのわりに南さん、いい加減なやり方してたんじゃん」
「アルコール温度計を振って温度を下げようとするとか」
「そりゃ、本人がいい加減な性格してるんだろ」
「あの南っての、結衣のいうとおりなーんか胡散臭くない?卑屈な感じがしてイマイチ信用できないのよねぇ」
綾子の言葉に結衣は『だよね!』と言う。
あの感じでは本当に心霊調査をちゃんとしている研究者なのか分かったものではない。
「あれ、そういえばジョンさっき博士がどうのって言ってなかった?」
「はあ……ボクは博士におうたことあれへんのですけど、たしかお若い人やと聞いたことがあって……」
「『博士』にしちゃ、じゅうぶん若いじゃねぇか」
「ハア……でも、博士はロンデンバーグ財団の博士号をもろたんですよね。あそこは心霊研究に力を入れてる欧米の財団の中でも最近とくに熱心なところで、博士号を作って優秀な研究者に与えたり、大学に講座を作ったり、その教授にしたりしてます。デイヴィス博士はその博士号をもろたんで、いわゆる普通の博士号とはちょっと違うてて……」
双子はまたちんぷんかんぷんだった。
ジョンの言葉がイマイチ理解出来ていないが、その一方で安原は『ふんふん』と興味津々と話を聞いていた。
「それに博士が来日したら、もっと大騒ぎになってるのと違いますか?」
「……そうよね。一部ではといえ有名か超能力者だもんねぇ」