第4章 放課後の呪者
リンさんにしては珍しく声を荒らげている。
それに驚いてしまった。
「いや……なにがおこるなかなと、ちょっとした好奇心で……。眠ってるのを起こすのも悪いじゃないか」
「壁を叩けば聞こえました。何かあったらどうするつもりだったんです?」
「まずい状況になったら呼んださ。べつになにもなかったし……」
珍しくあのナルが押されている。
それに驚いたのもあるが、まず驚いたのはリンさんの言葉。
『叩けば聞こえた』ということは、彼らは一緒に暮らしているということなのだろうか。
そう思ったのはあたしだけじゃなかったらしく、麻衣が興味津々と聞いた。
「ね、ねえ。『壁を叩けば』ってナルとリンさんていっしょのところに住んでんの?」
「……そんなものかな。それが?」
「イヤ、べつに……」
ちょっと、ナルの事がまた一つしれた気がした。
まさかリンさんと一緒に暮らしているなんて思っていなかったから、ちょっと驚いたけれど。
「そんなことより、笠井さんはどうしてここに?」
「あ、そうそう。なにか手伝うことがあったらって……産砂先生も。笠井さんて、あたしと結衣なんかより色々詳しいんだよ。ビックリしちゃった」
「でも、産砂先生もすごいんだよ。笠井さんが、産砂先生の受け売りだっていうから、きっと産砂先生も詳しいんだよ」
「……へえ」
「──ねえ、まさか笠井さんがほんとうに呪いをかけてるなんて……」
あたしと麻衣はそこが気になっていた。
笠井さんと話していれば、そんな事をしそうな子じゃないというのはわかる。
だけどそれは、あたしと麻衣だけが思っていることかもしれないと、少し不安だった。
「ないだろうな。いくらPKでも、こんな大人数をどうかしたりはしないだろう。ましてや被害者のところには霊が現れてるわけだから」
「呪いのワラ人形……とか」
「よく呪うとしたら、ワラ人形使うけど……」
「それもないだろう。ワラ人形といったら、人形に釘を打つものだし」
「だよね。釘を打ったところが痛くなったりするもんだもんね」
「そうだ。ワラ人形のせいで霊が出没したなんてことは……」
その時、ナルが突然立ち上がった。
後ろにいたリンさんまで立ち上がっていて、あたしと麻衣は混乱してしまう。
「リン……」
「……その可能性はあります」