第4章 放課後の呪者
「……あたしトイレ行ってくるね」
依頼整理の息抜きも兼ねて、あたしそう言うと立ち上がる。
すると麻衣は不満気な表情をするので、首を傾げながら麻衣の頭を撫でてやった。
「なに?」
「一人にすんの?」
「寂しいの?それとも怖いの?」
麻衣の言葉にニヤリと笑うと、癪に触ったのか『早く行けー!』と叫ばれる。
不安そうなのだが、どうせそろそろナルかリンさんが戻ってくるだろうからとあたしは会議室を出た。
ずっと座ってたせいで肩が凝っている。
ゆっくりと背伸びをしながら歩いていると、正面からナルが歩いてきていた。
「なにをしてるんだ、結衣」
「トイレだよぉ。すぐもどりまーす」
「そのまま遊びに行くなよ」
「いくかっ!!」
なんて軽口を叩いてから、ナルが会議室に入るのを見送る。
そこであたしは『おや……?』と思ってしまった。
麻衣は今からナルと二人っきりではないか。
これは麻衣にとっては良いチャンスなのでは……と考えながら、トイレへと向かう。
(趣味は悪いけど、妹の恋ぐらい応援しますよ〜お姉ちゃんは)
トイレから帰る途中、あたしは見慣れた背中を見つけた。
「ぼーさん」
声をかけると、ぼーさんがこちらを振り向く。
「結衣、なにやってんだ?」
「トイレ行ってたんだよー。あれ、ジョンは?」
「お祓い中。おれは今から休憩しに戻るんだ」
「ジョンに丸投げー?」
「失礼な!休憩してこい言われたから行くだけでーす」
ぼーさんは『失礼な子ね!』とあたしの額を弾く。
弾かれたけれど全然痛くなくて、額を抑えながらクスクスと小さく笑った。
そしてふと思い出す。
あたしは今、ぼーさんと二人っきりなんだということを。
(うわ、ラッキーだなあ。ここ来てからぼーさんとは別行動が多かったし)
なんて思いながら会議室の前に立った時である。
(……電気、消えてる?しかもなんか、嫌な感じがする)
「どうした?結衣」
「なんか、会議室から嫌な感じが……なんだろう。なんか、とにかく嫌な感じがする!」
ぼーさんはあたしの言葉を聞くと、眉を寄せて勢いよく会議室の扉を開けた。
その中を見たあたしは驚愕してしまう。
「っ……!?」
天井から、女がぶら下がっていた。