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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第4章 放課後の呪者


もちろん不安の原因はナルである。
ナルシストに失礼な物言いだから、衝突するかもと不安だったのである。

不安の原因は、そんなあたしの気持ちも知らずに生物準備室の扉をノックした。
最初、声がしなかったが暫く待つと中から女性の声が聞こえた。


「──はい?」

「失礼します。笠井さんはおられますか」


ナルは声が聞こえるなり、直ぐに扉を開けた。
中に二人の女性がいて、一人は優しげな雰囲気の教師だろう女性と……制服姿の女子生徒。
恐らくそちらが笠井さんのだろうが、彼女はそっぽを向いてしまう。


「……なんのご用かしら?」

「渋谷サイキック・リサーチの渋谷と申します。笠井さんに話を聞きたいんですが」

「ああ……はい。どうぞ、入ってください。わたしは生物を教えています、産砂惠といいます」


産砂先生は柔らかい雰囲気の女性だった。
いかにも優しげな感じの人であり、ふんわりとした様子はこちらを落ち着かせてくれそうなものだ。
こんな先生、あしたの学校にもいたらいいのに……なんて思ってしまう。


「……めずらしいお名前ですね」


ナルの言葉に、産砂先生は微笑む。


「笠井さんに……ということは九月の事件についてですのね?」

「なにも話すことなんてない!ほっといて!」


笠井さんは全力で拒否する言葉を言った。
まるで全身の毛を逆立てたような、そんな感じである。
そんな笠井さんに産砂先生が優しく声をかけた。


「へんな誤解をされないためにも、きちんとお話ししたほうがいいわ」

「いや!どうせ、ウソつき呼ばわりされるだけだもん!」

「でも心霊現象の調査をしてらっしゃるのよ?頭からあなたのいうことを否定したりはなさらないわ」


産砂先生の言葉に、笠井さんな暫く黙っていた。
だがやがて彼女はこちらを振り返った……警戒したような目でこちらを睨みながら。


「……なにが、ききたいわけ?」

「この学校で怪事件が頻発しているのは、あなたがきっかけになったのじゃないか──という話をききました。……超能力でスプーンや鍵を曲げたというウワサも」

「ウワサじゃなくてホントだけど。どうせ信じてくれないでしょ、超能力なんて」


笠井さんは挑発したかのように笑う。
その目は誰も信じていないような、瞳だった。
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