第4章 放課後の呪者
その子は少し困った表情で言う。
「したら電車が走り出しちゃってー、いっしょに走ったけどコケちゃって。そのまま引きずられてー。んーと、5mくらいかな、行ったところで電車止まったけど、肩脱臼してー足折っちゃってー。先週ギプスとれたとこ」
「……そのときドアの傍に誰かいませんでしたか?」
「ううん、だれも。ちょうどすいてて人が少なかったからちゃんと見たもん」
また背筋が震える話。
幽霊とかの話ではないが、気味が悪くて震えてしまう。
幸い脱臼と骨折だけだったが、死人が出なくて本当に良かったと思えてしまった。
「例の席でヘンな事がおこる原因について心当たりは?」
「ないよ。ねえ?」
「うん」
「……問題の席を見てみたいな……」
「じゃ、あたしが案内したげるー」
そうして、あたし達は高橋さんの案内で問題の席のあるクラスへと向かった。
問題の席があるクラスは2ー5であり、中に入ると高橋さんが一つの席を指さす。
窓際の一番後ろの席。
普通ならばいい場所ではあるが、あの話を聞けば気味が悪く感じてしまう。
そんな机をナルが触れた。
「……いまここには?」
「いないよ、だれも。こないだまでいた子はいま病院」
「机の位置は変わってない?」
「うん。ずっとそこ」
「──担任のようすがおかしいというのは?」
「そーなの!準備室に幽霊が出るから学校くるのやだって!以前はそんなもの居ないって言ってたくせに!……入院しちゃったけど、病室にも出るとかってもうノイローゼみたいだって」
話を聞き終えたあたし達はベースである会議室へと戻る。
もう既に十件は超えそうな依頼で頭がパンクしそうだが、それ以上に怖くてたまらない。
「──ねえ。こういうのって伝染(うつ)るものなのかなあ」
「確かに。ぼーさん、こーいうの伝染するの?」
「やなこというね、おまえたち。学校じゅう怪談に感染ってか?」
「えー、だってー」
「そうじゃなきゃ可笑しいと思わない?」
「どーするよ、ナルちゃん。とりあえずの……」
なんて話しながら会議室の扉を開けると、そこには二名の男性の先生達が座っていた。
そしてあたし達が入ると、彼は待っていましたと言わんばかりに立ち上がる。
「あ、あの。お話が……」
それから連続で相談人が来たのである。
驚くぐらいに、嫌になるぐらいに。