第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)
「俺と契約しろ」
「……え?」
耳を疑った。
契約?
悪魔との契約ではなく?
「……何を、いって……」
「忘れたのか」
バージルは静かに言葉を続ける。
「俺は半魔だ」
その言葉に、ビアンカは息を呑んだ。そうだ、この男は半人半魔。半分は悪魔だ。
でもそんな前例、聞いたことがない。
魔女は悪魔と契約し、その代償に死後の魂を捧げる。
だが、半魔は?
彼の半分の人間の血は、どう作用する?
この儀式が暴走したら?
彼はどうなる?
ビアンカの脳裏を、いくつもの懸念が駆け巡る。
だがバージルの表情を見れば、彼が本気であることが分かった。
その蒼灰の瞳に迷いはない。
戸惑いもない。
彼は、絶対にビアンカを喪うつもりがない。
(……恨んでくれるなよ、バージル)
これが暴走すれば、彼だって無事では済まない。
それでも――
ビアンカは、ダメ元で魔法陣を展開した。
言葉を紡ぐ。
その意味を込めて。
「CUPIDITAS MEA AETERNA」
──我が永遠の愛。
光が、二人を包み込んだ。