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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)


 「……ビアンカ」

 バージルは彼女へと駆け寄り、その細い身体を抱き上げる。

 近くで見ると、ひどい有様だった。

 全身に走る裂傷、流れ出した血、虚ろな瞳。

 魔力の流出が止まらない。

 まるで砂時計の砂がこぼれ落ちるように、彼女の命は静かに失われつつあった。

 「……バージル……」

 溺れるように浅く息をしながら、彼女はかすかに目を開いた。

 その唇は、青白く乾いている。

 「……お願い……ネロを……お願い……」

 震える指が、バージルの胸元を掴んだ。

 最後の願い。

 「頼む……見守って……あの子を……」

 バージルは彼女の手を見つめ、

 そして、ゆっくりと口を開いた。

 「……俺と契約しろ」

 ビアンカの目が、驚愕に見開かれる。

 「……なにを、いって」

 「忘れたのか」

 バージルは、彼女の頬に手を添えながら、淡々と続ける。

 「俺は半魔だ」

 「……!」

 「お前は魔女として、悪魔と契約し力を得る……ならば」

 「俺と契約しろ」

 「……できるか、そんなこと……」

 ビアンカの意識は朦朧としている。

 そんなこと、聞いたことがない。

 それでも、彼の真剣な瞳が、一切の迷いなくこちらを見ている。

 「……」

 ビアンカは、バージルの頬にそっと手を添えた。

 そして、かすれた声で囁く。

 「CUPIDITAS MEA AETERNA」

 その瞬間――

 足元に、光の魔法陣が広がった。

 バチバチッ……!

 魔力の奔流が、二人の身体を巡る。

 「……!」

 ビアンカの身体から、力が抜けていく。

 同時に、バージルの中にも何かが流れ込んでいくのを感じた。

 魔力と、生命力。

 それはまるで、二つの命を繋ぎ止める鎖のようだった。

 バージルは魔力ごと寿命を持っていかれる感覚に襲われながらも、

 それでも――

 ビアンカの心音が、まだ鳴っていることを確認する。

 まだ、生きている。

 バージルは、ゆっくりと彼女を抱きしめた。

 「……死ぬな、ビアンカ」

 静かに、夜が更けていく。

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