第29章 川品中央総合病院
椛「そうか…
じゃあ彼女さんは一人残されたのね。
今はどうしてるのかな、元気にしてるのかしら…。」
安室「…班長が亡くなってすぐ、ショックのあまり後追い自殺したと聞いている。」
椛「えっ??」
まさかのその後の展開に、驚きを隠せない。
椛(後追い自殺か…
それは班長も無念だっただろうな。
それに自殺じゃ、亡くなってからも再会できないじゃん…
班長と…)
静かになってしまった彼女を運転しながら横目で確認すると、口元に手を当てて、何やら考え込んでいる様子だった。
安室(恋人が後追い自殺だなんて…
班長も浮かばれないだろうな…。)
当時、その話を聞いた時も、居た堪れない気持ちになったが…
実際自分自身に恋人が出来た今、改めて班長の立場になって考えてみると…
なんとも複雑な…
割り切れない気持ちが募った。
安室「椛さん…」
椛「安室さん…」
2人同時に言葉が重なり、安室は運転しながら一瞬横目で彼女に目を向ける。
安室に視線を向けていた椛と視線が重なった。
椛「あっ、安室さん先にどうぞ?」
安室「椛さんこそ先にどうぞ?」
そしてお互い先を譲る。
そのままどちらも言葉を発せず、しばし沈黙が続いた。
なんとなく同じ様な事を思っている気がして、口を開いたのは椛の方。