第14章 明日
その時。
ツギハギの男の領域を破って、虎杖君が中へと侵入してきた。
結界術は内からの耐性を上げる程、外からの力に弱くなる。
「領域」は"閉じ込める"ことに特化した結界。
逆に侵入することは容易い。
何故なら侵入者にメリットがない。
五条さんの「無量空処」やコイツの「自閉円頓裹」のように、相手を領域に引き入れた時点で勝ちが確定するとなれば尚更。
だが、彼。
虎杖悠仁の裡には、触れてはいけない"魂"が在る。
『言ったはずだぞ。二度はないと』
目の前に現れた両面宿儺は、一瞬にして男の左肩を切り裂いた。
天上天下、唯我独尊。
己の快・不快のみが生きる指針。
彼にとって、私が死のうと真人が死のうとどうでもいい。
男の領域が崩壊し、地面に倒れる。
その間のほんの数秒。
虎杖君が奴に向かって走り出す。
奴は身体を大きくするが、呪力の流れが凪いでいる。
虎杖君でも確実に攻撃を当てられる。
最後の好奇。
駆け引きなど必要ない。
そこにあるのは限りなく透明に近い殺意。
虎杖君の「逕庭拳」が奴の体にあたる。
通常遅れるはずのない呪力の流れが、速すぎる身体の動きに追いつけない事態を引き起こし、拳に纏わせた呪力が本人の動作に追いつかずズレが生じる。
その結果、微量の呪力を纏った拳が当たった時と本命の呪力が流れた時の二回分のインパクトが生まれる。