第2章 恥辱
「それくらい、素直になった方がいいよ」
「………」
くしゃりと、私の頭を優しく撫でる。
何度も何度も。
止まったはずの涙が、また零れる。
だから、なんで。
優しくするんだ。
なんで、こんなに心にぶっささってくるんだ。
病気だからか。
心が弱っているからか。
わかんない、けど。
涙はゆっくりと頬を伝う。
それを五条悟は親指の腹で静かに拭った。
「…………んで」
「うん?」
小さく零れた言葉は、堰を切ったように、涙と共に溢れる。
「なんで、優しくするの……」
「なんでって、早く治してほしいからだよ」
「なんで?だって私はあんたを殺そうとしてんだよ。なんで、意味わかんない……」
鼻水をぐしゅぐしゅと鳴らしながら、私の"悪態"を五条悟は黙って聞いていた。
「全然殺せないし、傷一つつけられないし……。バカみたいに強いし……。人の身体ボコボコに殴るし、身体痛いし、そのくせこうして優しくするし……。意味わかんない……」
「、僕はね……」
「なんで、なんで……、お兄ちゃんを救ってくれなかったの……?」
私は男の言葉を遮った。
涙で歪む視界でもわかった。
五条悟が息を呑んだのが。
「そんなに強いなら、お兄ちゃんを救えたはずじゃん……。そんなに優しいなら、お兄ちゃんが苦しんでた時、助けてあげられたじゃん……。なんで……殺したの。なんで……気づいてあげられなかったの?」