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攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐

第1章 幼馴染みは森の中で姫を見つけた




「これで勝てなかったら君のせいだから」

ポカーンとする私を置いて月島くんは歩いていってしまう
山口くんは「ごめんねー」って言いながら月島くんの後を追いかけていく
……結局効果があるのかないのかどっちなの!



「 有栖川 」

聞き馴染みのある芯のある声が耳に届く
あぁ、そうだまだ渡してなかった

『影山っ』

声の方に振り向く
朝だからまだ目が覚めてないのか、一段と目つきを尖らせてる

『これ上げる!』

「何だこれ」

『チョコレート!』

「知ってる、なんでチョコレートなんだよ」

『えっといや今日の試合勝って欲しいと思って??』

今や月島くんの嘘だと判明したけど、まだチョコ30枚以上あるし…
影山よ!幼馴染みのよしみで貰ってくだされ!

「じゃあもっと消化の早いものにするべきだろ」

!!!!!

『消化の…早いものって…?』

「バナナとか、果物全般の事だろ」←テキトー

『影山のくせに頭のいい事言って…』

「こんなんジョーシキなんだよ」

影山はそんな事言いながらチョコを10枚ほど貰ってくれた、余程お腹が空いてるのか

伏せた影山の顔を見つめる
烏野に入学してから私への影山の態度がどこか余所余所しく感じてたけど
やっぱり私の勘違いかな


「…何見てんだよ」

『み、見てない』

「はぁ?見てただろ」

『見てない』

「見てたな」

『だから見てないって、しつこい!』

「しつこいのはお前だろうが、いい加減認めろ!」

『むぐぅ!?』

影山の手が伸びて私の頬をガシッと鷲掴みにする
離れようとするけど、影山はバレーボールを掴んでるかのように私の頬から手を離さない

「見てたって認めるまで離さねぇぞ」

『ほぉひゃくしぇいか!しゃねぇせ!(小学生か!離せ!)』


そこへ目が笑ってない田中先輩がフラフラした足取りでやってくる

「おい影山よ…清子さんに振られ続ける俺の前で見せつけてるわけじゃないな」

『しゃなひゃしぇんひゃい!』

「あ、田中さん、違います
コイツが突っかかってきて相手をしてやってるだけです」

やっぱり余所余所しくなんかない!
こんなの中学のときと変わらない影山のまんまだ!

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