攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐
第3章 ウソと人魚の心を手放した代償
影山は割り切って堂々としてるけど日向はまだ落ち着いてないみたいで不審感を匂わすような動きだった
『ひ、日向!もっと自然に!怪しい!』
「ななんか俺…泥棒になった気分なんですけど」
「アホなこと言ってねぇで早くしろ
てめぇのせいでバレたらどうすんだ」
私達は地図を探しながら校内を詮索する
…外からみるとだいぶ違うけど、中はどこの学校も同じようなもんだな
一階にはそれらしきものはなく私達は二階に移動する
「案外ないってこともあるな」
影山の言葉にその可能性は考えてなかったと思った
二階は一年生の教室のようでまだ掃除で残っている生徒や、友達同士で話してる生徒で溢れ返っていた
「結構人いるけど…これ大丈夫だよな」
『制服着てるし、流石にバレることはないんじゃないかな』
知らんぷりしてれば行動範囲はそこまで狭まらないはず
廊下に出るとやはり誰かに咎められることはなかった
…だけど
「…え、あんな子うちの学校にいたのかよっめっちゃ可愛い…」
「あの身長の高い方の男子
ちょーーカッコよくない?クールそうなとこがいい〜」
なんだか視線を感じるような…
影山は気にしてない、というより気付いてないようだったが日向はあからさまに居心地が悪そうにしている
「あぁ〜〜もう俺は先に行く!」
日向は足を早めて前へと飛び出す
それと重なって教室から誰かが出てきて日向の前に立ち塞がった
「!」
『…!ひ』
「ゲッ!!!!」
日向の言葉に反応してその人物はこちらを見る
日向の言葉を借りるなららっきょうの形の髪型をしていてその人物は紛れもなく金田一だ
その手にはゴミ箱を持っていていまから捨てに行くところなのが分かる
「あ?お前はっ…烏野10番…
…なんでここ」
「お、俺は、烏野なんかじゃありませんーー!!」
((バカー!!!!))
日向は金田一の横を通って全速力で逃げ去っていった
金田一は呆気にとられたまま日向の去った方向を見ていた
ど、どうしよう、日向が…
うろたえている私の腕を影山を強引に掴み、はっきりとした声で言った
「逃げるぞ」
次の瞬間、腕を強引に引かれ全速力で金田一とは反対方向へ走っていた