【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第9章 ※偶然の再会
ポン、と頭に手を乗せる。
「…誰に言われたんだ?沙良…」
『っ…ぶっ飛ばす……んですか?』
心配するように俺の顔を覗き込む。
「…んなわけあるか。
ただ…お前がこんなんなるのが嫌なんだよ。
何でお前は自分の価値に気づかねぇんだ…誰に何言われたって、堂々としてろ。んなクズに感情を左右されてんじゃねぇ…」
『………会って…』
「……?」
『小学校の時……イジメ…られてたんですけど…その子に何年ぶりってくらいに…偶然駅で会ってしまって…話しかけられて…色々思い出して…』
微笑みながらも、みるみるうちに涙が溜まる瞳。
「…っ……」
もう一度、そっと抱きしめた。
「………悪かった。」
『…っ……』
目を瞑ると、再び大粒の涙が溢れ、震える沙良。
「…俺が悪かった。もう泣くな…」
やっぱりぶっ飛ばさなきゃならねぇな。
こんなことがまた続くなら…
『梶君…ありがとうございます。
このこと…できたら…誰にも言わないで下さい。
高校生にもなって…いつまでも恥ずかしいですし…
こんな顔で帰れないので、適当に時間を潰します…』
ふふっ、と微笑み、涙を拭う沙良。
「どこ行くんだ?」
『…どこ…行こうかな。』
今日の見回りは多聞衆。
駅周辺は3年生が見回る。
柊さんをはじめ先輩たちが今の沙良を見たら確実に心配するだろう。
沙良はそれを望んでいない。
「…………」
俺は沙良の手を引き、歩き出した。
『…梶…君…?』
駅の裏の人気のない通りにあるビルを確認し、足を止めずに中に入る。
『っ……梶君…』
「心配すんな。何もしねぇから…」
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選んだ部屋のソファに座り、携帯で榎本達に連絡する。
勿論、どこに誰といるかは送らない。
「金…置いていくから適当な時間に出たらいい。
寝ててもいいし、テレビ見ててもいいし。」
『っ…帰っちゃうんですか?』
「いや…だってここにいんのも…変だろ?」
こんな部屋にいたら理性がどうにかなっちまう…
コイツを泣き止ませたくて入ったのに、余計に泣かせちまうようなことになりかねない。
(…っ梶君……梶君……)
「っ……」
頭の中で何度も再生されたあの日の沙良の声。