第1章 【僕にできること】
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ここのところ、廉の調子がよくない気がする。
……気がするっていうか、絶対にそうなの!!
異常に汗をかいていたりして、すごく、
すっっごく心配してる……。
だけど、弱みを見せたり心配されたりするのを
嫌がる廉だから──。
「……れん、大丈夫?」
声になりかけたそのたった一言を、
今日も胸の奥へとしまい込んだ。
*
……まずい、気がする。
紫耀から番関係を解消されてから
初めてのヒートが近づいとる気がする……。
頭がぼーっとして、視界の端が明滅する。
額から流れ落ちる汗が目に入って沁みたけれど、
それを拭う腕すら鉛のように重い。
番を解除されたあの日、
ヒート初日やったにも関わらず俺の体から
αを引きつけるためのフェロモンが完全に消えた。
俺が噂で聞いとった話とは違って戸惑ったけど
誰かを狂わせてしまう恐怖や罪悪感からは
解放された気がして……、
紫耀を失った痛みはいまもまだ慣れんけど、
そこだけは安心した。
……けれど、その代償は想像以上に重かったことを
番関係を解消されて初めてのヒートで
俺は知ることになる。
本来なら外へと放出され、体温や溢れ出る
エネルギーを逃がすはずのフェロモンが、
出口を失って全て体内に溜まっていく……。
行き場のない熱が熱湯のように細胞を焼き、
内臓を内側から圧迫していく感覚。
汗が、ひっきりなしに俺の全身を伝う。
あ、あかん……っ、
息……、できん……っ
「っ……ハぁ……っ、く……ッ」
熱が籠もりすぎて全身の関節が軋み、
指先ひとつ動かすことすらままならない。
逃げ場のないエネルギーが体内で暴走し、
意識を強引に奪おうとしてくる。
立ち上がろうと膝に力を入れた瞬間、
視界がぐらりと大きく傾いた。
「──廉!?」
床に倒れ込む直前、身体が宙で受け止められる。
「熱っ……! なにこれ、廉、めちゃくちゃ熱いよ!?
息も出来てないじゃん……っ!」
俺の肩を抱きかかえながら取り乱す海人が
霞みかかっとる視界の端に映る。
「かい……ごめん、心、配……かけて」
「もう!!何言ってんの!ごめんとか言わないで!
れんっ、しっかりしてよ! れぇん……っ!」