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【KP×オメガバース】

第1章 【僕にできること】






俺がいなくなったあとも、
廉が誰かと笑い合って、
誰かに愛されて、
ちゃんと、幸せになれる可能性。

それだけを、
俺は廉に残したかったから。


そのためには
俺の愛情が廉の未来を保証する事実なんて、
邪魔だとすら思った。


一生分の愛を込めてうなじを噛んだのは
廉に自由と未来を贈るための、
俺なりの愛の形。


「……廉」

俺は眠る廉の頬をそっと、撫で、
廉の頬を濡らした涙を、震える指先で拭った。


何度も触れたはずの頬なのに……、


これが最後だと思うだけで、
指先がひどく名残惜しく感じて、

拭ったあとも手を離すことができず、
そのまま掌で廉の頬を包み込む。


親指で涙の跡をもう一度優しくなぞって、
愛おしい廉の姿を焼き付けた。


言いたいことは、たくさんあった。


好きだ。
離れたくない。
離したくない。
愛してる。


本当は、ずっと……俺のそばにいてほしい。


けれど、そのどれも口にはしなかった。


代わりに――
俺は廉の頬に添えた手をそのままに、
ゆっくりと顔を近づける。


そして、 最後の想いを託すように、
廉の唇へそっと口づけた。

―――触れるだけの、優しいキス。


唇を離したあとも、
俺はしばらく廉の頬から手を離せずにいた。


そして、届くことのない言葉を静かに紡ぎ、
最後にもう一度だけ……、キスを落とした。


「廉……お願い。幸せでいて」


その声だけが、
静まり返った部屋に小さく残った。















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