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【KP×オメガバース】

第1章 【僕にできること】






五人での活動が終わったら、
次のヒートで番関係を解消する。

このとき、何を思っていたとしても
揺らがないでいよう。

あの夜、二人で決めた約束。


だから廉は……どれだけ怖くても、
どれだけ離れたくなくても、

「嫌や」とは言わなかった。


そんな廉を見ているのが、苦しかった。
本当なら、俺だって言いたかった。


「やめよう」って。
「やっぱり番のままでいよう」って。

何度そう言いかけたか分からない……。


けれど――…、

それを口にしてしまえば、
俺はもう二度と、廉を手放せなくなる。

俺がいなくなったあとも、
廉の未来まで縛り続けることになる。


だから、俺は気づかないふりをした。


廉の瞳に浮かぶ悲しみも。
震える唇も。
必死に飲み込んだ「嫌や」も。


全部。
全部、見なかったことにした。

決心が揺らいでしまわないように。


俺は溢れ出そうになる感情を押し殺し、
廉の細い腰を引き寄せ、

きつく、きつく―――
一生分、廉を抱きしめた。


そして―― 最後の瞬間。


逃げちゃいけない。
頭では、ちゃんとわかってる。

これが、最後。

受け入れろ。
縋って、紫耀を困らせたりなんかするな。
最後くらい、みっともない姿は見せるな。


そう、何度も言い聞かせているのに。


紫耀の腕に力がこもった瞬間、
噛まれるって思った。


―――このまま終わってしまうのは、嫌や……!

とっさにそう感じた躰が、
俺の意思に逆らってわずかに逃げた。


そんな俺の小さな動きを、
紫耀は見逃さんかった。


「……廉」

低く落ちた声に、 俺は息を止める。


―――見つかった。

俺が必死に隠していたものまで、
全部、見透かされた気がした。


それでも俺は、 「嫌や」とは言わんかった。


そんな俺の小さな抵抗も、
紫耀は多分、全部わかっとって。


わかったうえで、紫耀は目を閉じた。
決心が揺らいでしまわんように……


そして。
俺のうなじの刻印孔へ、 容赦なく歯を立てた。








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