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【KP×オメガバース】

第1章 【僕にできること】




「次のヒートが来たら……
 その時に、ちゃんと番解消する」

震える唇でそう言葉を紡いだ廉。


まるで、自分自身に言い聞かせるみたいに。
本当は、そんなこと言いたくないはずなのに。


それでも廉は、
俺を困らせないように、
自分の気持ちに蓋をするように、
必死にその言葉を口にした。


「……うん」

ようやくそれだけを返すと、
廉は小さく頷いた。


その頷きが、『これでいい』と
自分に言い聞かせているように見えて―――…


廉の健気さに、胸の奥がひどく痛んで、
俺はしばらく、何も言えなかった。


そして、ようやく決心をした俺は
自分を奮い立たせるように大きく深呼吸をした。


「……廉」

「ん……?」

「その時になったら……何を言っても、
 何を思っても、もう決めたことは変えない」


廉の薄茶色の瞳が、小さく揺れた。

「……どういう意味?」

廉の震える瞳を真っ直ぐ見つめ続けることが
できなくて、俺はそっと、目を伏せた。


本当は、
こんなことなんか言いたくなんてない。

だけど、次のヒートが来た時。

廉が今よりもっと泣いて、
「嫌や」と俺に縋ってきたら……?


きっと俺だって、
その手を振り払えなくなる。


だから、どれだけしんどくても
今ここで、言っておかなければいけないと思った。


「……次のヒートが来たら、
 廉がどれだけ嫌がっても……俺は番を解消する」


口にする俺も、それを受け取る廉も
胸を抉られるような言葉だった。


「……っ」廉の唇が、小さく震える。

「……紫耀……」

「だから……」


俺の心は血を流していた。

今から酷な言葉を吐き出す口の中さえ、
血の味がするような気がした。


「今のうちに、約束してほしい」

「……何を?」

「その時になって、
『やっぱり嫌や』って言わないって」


そんな約束をさせることが、
どれだけ酷なことなのか。

そんなことは俺自身が、一番分かっていた。

それでも、そうしなければきっと、
俺自身が揺らいでしまう……。


「俺も……その時に揺らがないようにするから」


泣きすぎて枯れていた廉の目から、
また一粒、涙が零れた。

「……ずるい」

「……うん。ごめん」

「そんなこと言われたら……
 今は『分かった』って言うしかないやん……」













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