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【KP×オメガバース】

第1章 【僕にできること】






しばらくの間、どちらも何も言えなかった。


ただ、俺の腕の中で、
廉の肩だけが小さく震え続けている。

やがて廉が、涙で濡れた声を絞り出した。


「……わかった。
 紫耀の気持ちは変わらんのやな……。
 でも、今すぐ解消するんは……嫌や」

廉の悟ったような声色に思わず
腕の力が、ほんの少しだけ強くなる。


「……うん」

「だって……今、俺らがそんな状態になったら……
 絶対、俺、仕事に出るもん……」

「……うん」

「やって俺……正直永瀬やからな」


ふっと廉が笑って口にする。

こんなに苦しいはずなのに。
今にも泣き崩れそうなくせに。


それでも、しんどいときこそ周りに気を遣って、
自分のことを後回しにする。

そんな廉らしさを感じて、
胸の奥がまた締め付けられた。


「三人とも、まだ一緒に活動せなあかんやろ?」


グループとして残された時間は、もう長くない。
ただでさえ、五人の未来が別々になろうとしている。


そんな中で、俺たちがぎこちなくなってしまえば、
メンバーだけやなくファンのみんなの
最後の時間まで壊してしまうかもしれない。


それだけは嫌やった……。


「もし、今解消したら……
 今までみたいに普通に喋れるかすら分からん。

 俺が紫耀のこと意識してまうかもしれんし……
 紫耀も、俺のこと気にしてまうやろ?」

紫耀は、黙って俺の言葉を聞いていた。





否定なんて、できなかった。

番を解消した直後に、
今まで当たり前にあった繋がりが消えてしまえば、
二人の間に何かしらの変化が生まれる。


ましてや、『しょうれん氷河期』なんて、
ファンから心配された過去を持つ俺たちだ。

それを隠したまま、
残された活動期間を過ごすことなんて
俺も廉もきっと、できないだろう。


「……だから」


廉がゆっくり顔を上げる。

涙で赤くなった瞳が、
まっすぐ俺を見つめた。


「三人での活動が終わるまでは……
 番のままで、おらへん?」


俺は、すぐには答えなかった。

その提案が、廉にとって
どれほど大きな意味を持つのか分かっていたから。


そして、
自分にとっても―――…


「……活動が、終わったら?」


その静かな俺の問いに、
廉は唇を噛み締めた。


「……次の、ヒートで」

















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