第1章 【僕にできること】
そう思った瞬間、
胸の奥がぐしゃりと潰れた。
「αの紫耀にとったら……ただ守れん約束が一つ、
増えるだけかもしらん……」
震える声を必死に音にする。
「けど、番っとる間は……
紫耀が俺を鎮めてくれる可能性が、
ゼロやないやん……!!」
涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま
紫耀を必死に見つめ上げると
紫耀の瞳が、僅かに揺れた。
それを見てしまったから。
まだ、俺の隣におってくれるんやないかって。
まだ、何かを言ってくれるんやないかって。
そのわずかな望みに縋ってしまう―――…。
「紫耀、あんとき言うてくれたやん……!
隣におるって……」
声が掠れる。
「……あれは……嘘やったん?」
「……っ」
紫耀の唇が、わずかに震えた。
けれど、答えは返ってこない。
その沈黙が怖くて、
廉はさらに紫耀の服を握りしめる。
「番解消するってことは、
その可能性がゼロになるってことやろ……?」
もう、何粒目かもわからない涙が
頬を伝って落ちる。
グループを離れて
たとえ、めったに会えなくなったとしても。
『紫耀の番』であることだけは、
どうか、失いたくなかった。
ほんのわずかでもいい。
苦しい時に、
もしかしたら助けに来てくれるかもしれない。
そんな小さな希望すら、
俺から奪わんでほしかった。
「今みたいに、いつもやなくていい……」
声が震える。
「それでも……
ちょっとの可能性も、俺にくれんの……?」