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【KP×オメガバース】

第1章 【僕にできること】






もう――

俺たちは、
番やなくなる。

そう理解した瞬間。


胸の奥に抑え込んどった気持ちが溢れ出した。


「……っ、けど……」

声が震える。


「けど……俺は、どうなるん……?」


堪えようとした涙が、
一粒―――、頬を伝った。

それを合図に、次から次へと溢れてくる涙に
気付いてはおったけど、自分では止められんくて
ポロポロとソファーを濡らし続ける。


「俺は……どうなるん……?」


紫耀の胸元を掴み、
縋るようにその服を強く握りしめた。


「……聞いたこと、あんのよ。
 番を解消されたΩのヒートは……ひどなるって……」

「廉……」


紫耀から名前を呼ばれただけで、
涙がまた溢れた。


「生き地獄やって……!!」


―――怖かった。

紫耀を失ったあと、
自分の躰が紫耀を求め続けることが
何よりも怖かった。


どれだけ会いたくても、
もう会えない。


どれだけ抱いてほしくても、
もう、抱いてもらえない。


それなのに熱を帯びた躰だけは、
紫耀を求め続ける―――…。


一度、固く結ばれた絆を
強引に引き裂かれたΩの身体がたどる末路。


紫耀と番う前、
ただでさえ重くなっとったヒートが、
今以上にひどくなる……?


その先に待っているものを想像しただけで、
背筋が凍った。

きっと、俺は……正気ではいられない。


「俺……無理や……」

掠れた声が、唇から零れた。


自分の躰が性欲だけに支配され、
人間じゃなくなっていくような悍ましい恐怖。

そして、紫耀を失えばこの乾いた身体も孤独も、
もう誰にも埋めてもらえないかもしれないという恐怖。


二つの絶望が俺を容赦なく襲ってくる。


「となりに紫耀がおらんのに……
 そんなの……無理やって……」


―――初めて、
紫耀の前で吐いた弱音。


格好悪くてもいい。
情けなくてもいい。


ただ、お願いやから……。


「……置いてかんといて……」


お互いに愛を囁き合うことはなくても
この先もずっと、隣にいてほしかった。


ただ、
それだけやったのに……。


「紫耀との繋がりが完全に消えてしまうこと」
それが何よりも俺を打ちのめした。


友達でもない。
メンバーでもなくなる。
番関係でもいられない。


やとしたら、紫耀にとっての俺って何……?







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