合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB 他】
第5章 お題小説 花モチーフの歌 + α
あれから数度目の春。
楓は呪術高専の門を見上げて、目を細める。
「夏油先輩、私、高専を卒業したよ」
伊地知君は五条先輩にクソの役にも立たないなんてひどいことを言われて補助監督に進路変更したから、術師として卒業したのは私だけ。
本当は夏油先輩にも「卒業おめでとう」って言ってもらいたかったな……
正直、今でも信じられない。
ひどい常識知らずだった私を見限ることなく、本当に色々なことを教えてくれた。
攻撃的にしか使えず持て余していた術式の別の活用方法を考えてくれて、呪術師になることで人の役に立てることを教えてくれた。
私は夏油先輩に憧れて呪術高専に来たのだ。
もし先輩がいなかったら、気に入らない人間を手当たり次第蜂に襲わせて、誰からも見放されていた。
今の自分があるのは先輩のお陰だ。
それなのに……
あんなに優しかったのに、なんで?
どうして離反なの……?
桜の花が舞い散る季節―……
ほんのわずかに芽生えた恋は実ることなく散っていく。
―了―