第10章 初めてのインターハイ予選
「さっさと教室戻りなよ」
「つれないなぁー…。目立つって、蛍のその慎重で目立たない方が無理あるよねぇ?」
「あ、あはは…」
昼食を済ませると、そう言って追い出されてしまったので、あたしは仕方なく教室に戻る。
扉を開けて視界に飛び込んできた翔陽の背中。
思わず足が止まるけど、よくよく見ると午前中までの負のオーラは纏っていない。
「あ、鈴!どこ行ってたんだよー」
「それはこっちの台詞だよ…」
もぐもぐとご飯を口に詰め込みながら、あたしに気づいた翔陽は振り返る。
「んぐっ…。あ、そっか!ごめんな!もう大丈夫だ!!」
「…翔陽がどっか行っちゃったから、4組でご飯食べてたんだよ、もう!」
笑って返すと、翔陽もニカッと笑っていた。
もう吹っ切れて、前を見ている。
そんな顔だった。
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「早く、部活行こうぜ!」
「あ、うん!!」
完全復活した翔陽は午後の授業が終わると、元気よく教室の入り口に立ってあたしに声をかける。
あたしは急いで荷物をまとめて、翔陽のあとを追いかけた。
ジャージに着替えて体育館に入ると、3年生の姿がない。
1年、2年はそろっているのに。
「3年生、来ねぇな…」
そわそわと落ち着きのない翔陽を横目に、部活の準備を始める。
すると―――
「やばいやばい、早く!!」
慌てた様子で体育館に入り込んでくる3年生。
前に飛び出た翔陽と、一番に入ってきた孝支先輩の視線が合う。
「行くぞ、春高」
二ッと笑った孝支さんに体育館が湧いた
「おっしゃぁぁぁ!!!」
良かった。
まだまだマネージャーとしてわからないことだらけ。
潔子先輩に教わることはたくさんあった。
今いなくなられたら困るのだ。