第10章 初めてのインターハイ予選
インターハイ三日目。
朝はなんだか気まずくて[先に入ってて]とだけ連絡して一人で登校してしまった。
「おはよう」
「…おはよう」
教室に入って翔陽に挨拶しても、元気な声は返ってこない。
今この時間、あの体育館にいれないことが 悔しくて仕方がないと言った表情だ。
これ以上話しかけるのも野暮なので、あたしは大人しく自分の席に着いた。
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お昼休み。
チャイムが鳴ると同時に、もう我慢できない!と言わんばかりに教室を飛び出す翔陽。
追いかけたところで、何の励ましもできないあたしは、机の上にお弁当を広げようとしていた。
ブブッ
突然、携帯が震える。
画面を確認してみると、メールが届いていた。
[山口、もう大丈夫そう]
そっけない一文。
それでも蛍なりに気を遣ってくれたんだと思うと心が温かくなる。
あたしは広げかけたお弁当をしまって、教室を出た。
「お昼一緒に食べない?」
「は?」
「アレ、鈴!ここまで来るの珍しいね!」
「え?あれ1組の永瀬さん?」
「普通に月島に声かけてる…」
「仲良かったの?」
幼馴染で、部活は一緒でもクラスは離れているので、あたしたちの関係を知るはずのない4組の視線が突き刺さっているが、今はそんなこと気にしていられない。
「翔陽にフラれた~」
「ちょっと、目立つからあんまコッチ来ないでくれる?」
「ひどい、あんなに優しいメールくれたのに…」
「はっ!?意味わかんないんだけど」
「なになに?ツッキ—からメールなんて珍しいね」
「うるさい山口」
いつも通りの様子の2人に、心底安心した。
ま、蛍は別にいつも同じテンションだけど。
「それでさぁ~」
「ちょっと、ここでお弁当広げないで」
あたしはズカズカと教室に入り込んでお弁当を広げる。
やっぱりこの空間は落ち着くなぁ、なんて思いながら。