第10章 初めてのインターハイ予選
いつもより早い時間に家を出ると、さも当然かのようにウチの前に立っている蛍を見つける。
こういう、ごくたまに出るさりげない優しさがいいんだよなぁ。
「おはよ、蛍」
「…おはよ」
行動とは合わない、そっけない挨拶を済ませてあたしたちは歩き出した。
「…頑張ってね、今日」
「別に、普通にやるだけだし」
「も~こういう日くらい気合入れなよ」
「あのバレー馬鹿達と一緒にしないでくれる?」
表には出してないけど、バレーシューズの入った大きなカバンには昨日渡したお守りがしっかりついていた。
「おはよう!ツッキー!鈴!!」
「おはよう忠!」
「はよ」
途中で忠が合流して、いつも通りの空気感になる。
そわそわとしていた感覚がほんの少し落ち着いていくような、安心できる空間だった。
「おはようございます!!」
「おはよう鈴、気合十分だな」
学校に到着すると、もうすでに全員が集まっていた。
あたしの挨拶に、大地先輩が笑顔で答えてくれる。
「へへ、試合に出るわけでもないのに変ですよね…」
「いや?そういう気合は、周りの奴らにも影響出るから、正直ありがたいよ」
ただのマネージャーが何を息巻いているのか、と試合に出る本人たちを目の前にして少し恥ずかしくなるが、大地先輩は優しくフォローしてくれた、が。
「負けねえ!!」
「うおぉぉぉ!!」
「…いらないですかね、やっぱ」
「い、いや、ありがたいよ…」
目の前で気合、やる気十分な翔陽や龍先輩たちを見ていると、途端に冷静になる自分がいるのを感じた。
こうして、一番最後に到着したあたしたちを乗せて、バスは仙台市体育館へと向う。