第2章 Episode 00
「_なら、行こう。一緒に、壁の外の世界へ」
「え....?」
エミリーはスーザンの言葉に、耳を疑う。いや、言葉の意味が想像出来なかったのだ。ずっと生活のため、家族のために憲兵になることばかりを考えていたエミリー。彼女にとってその選択肢は、もう随分前に消え去ってしまっていた。
「私も、エミリーと一緒にずっと兵士をしていたい。調査兵団に入ろうよ、エミリー」
「でも、それじゃ....」
「エミリーが家族の生活を思ってずっと憲兵を目指していたのは知ってる。それこそ、誰よりも近くで見てきたんだから」
「っ....」
「でも、それは自分の夢を諦めてまで選ぶ道じゃない。私はエミリーがあんな顔するの初めて見た....一緒に叶えたいの、二人の夢を」
「スーザン....」
スーザンはエミリーの手を取り、また屈託のない笑顔を彼女に向けた。
「私....でも自信ない。巨人のいる世界で戦うなんて...」
「エミリーは私の親友なんだから、なんだってできるでしょ...!」
「...! 」
「それにエミリーが居れば、私だって心強いわ。なんだって我らが86期生首席の兵士なんだから...!」
エミリーはスーザンの言葉に自分にも決断する時が来たと悟る。自分のことをここまで信頼して声をかけてくれる彼女の存在に、強く感銘を受けたのだ。
「私....なるよ。調査兵に」
「エミリー....嬉しい。貴方と一緒に戦えるなんて....!」
「スーザン....」
「ふふっ....屈強なトーマスを訓練で投げ飛ばしたぐらいだもん、エミリーは巨人相手だって目じゃないよ!!」
「っスーザン...!!その話はぶり返さないでってあれ程っ....!!」
「あははっ」
こうして、二人の少女は兵士となった。自由を求めて戦う、誇り高き調査兵団の元へと共に進むのだった。