第1章 Episode 01
壁外調査を終えた兵士達がウォール・マリア領内にある兵舎へと戻ったのは、その日の日の入り後だった。生き残った者達はその後処理に追われ、相変わらず壁外にいる時よりも帰った後の方が忙しなく動いている。
リヴァイも自分の馬を厩舎に戻した後、荷馬車班の兵士達に頼まれ、備品を倉庫へ戻すよう作業を言い渡された。壁内に帰ったその日くらいゆっくり休ませて欲しいものだが、ただでさえ税金泥棒と揶揄される兵団が怠けた姿を見せるわけにもいかないということだろう。
荷物を全て運び終えた後、ふとリヴァイはエミリーのことを思い出す。壁外にいる時はあんなにも体調悪そうしていたのに、彼女は自分からそれを周りに言うことはなかった。あの時も結局はエルヴィンの指示に従い、休んでいない。
(疲れてぶっ倒れてもいなけりゃいいが....)
帰隊してからエミリーの姿を見かけていない。リヴァイが彼女がどこかで倒れていないかと心配しつつも、次から次へと言い渡される仕事を淡々とこなしていく。しかし、あの時見せた彼女の苦しみの表情はずっと心に残っていた。