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露花の恋【進撃の巨人】

第1章 Episode 01




数時間が経ち、そろそろ作業もひと段落着いてきた頃。リヴァイも冷静を取り戻しつつ、エミリーのことを思い起こす。彼女とて、これまで死線を潜り抜けて来た兵士だ。心配しなくとも、壁内に戻った後は心を休め、しっかり自分のことは管理しているかもしれない。リヴァイがそう思い始めた頃、ふと兵舎の廊下の一番奥、普段は鍵が掛かっていて誰も使っていない倉庫の扉の間から光が漏れていることに気がついた。周りの兵士でそれに気づいている者は誰もいない。誰かが倉庫に入った後うっかり鍵を閉め忘れたのだろうと思い、リヴァイは扉を閉めに向かった。



_「__....、_...だ」
_「__っ....ん....」

誰かがまだ中にいる。そう気がついた時にはもう遅かった。この状況は今度で二度目だ。中から漏れ聞こえる声は、確かに自分の知るあの2人のものだった。

しかしリヴァイは足を止めることなく、息を殺して扉の隙間から部屋を覗き込む。リヴァイはその光景から、目を逸らしたくともできなかった。心臓が強く鼓動し、血が全身に行き渡っている。まるで戦いに身を置き、命のやり取りをしている時のようだった。

「エミリー...」
「エルヴィン.....ん...__ 」

2人の男女の甘い口付け。女は静かに涙を流している。他の誰も知らない、2人だけの悲しい物語に身を任せ。

新月だったその日の夜空は、暗く、小さな星屑ばかりが浮かんでいた。闇夜に暗く包み隠される様に睦み合う2人を背に、リヴァイは静かにその場を去るのだった。

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