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露花の恋【進撃の巨人】

第1章 Episode 01




初めて壁外に出た時の感動は、言葉で言い表せないほど素晴らしいものである。それは全ての調査兵が口を揃えて言うことだろう。遮るもののない大空に、青く茂った雄大な自然。いつ来てもここは美しく、そして残酷な世界だ。


_「うぁぁぁぁぁ!!!」
_「やめてくれっ...!っ食べないでく_ヴゥゥ」

「っ....!!」

周囲で兵士達の断末魔が響く中、リヴァイは無心で巨人の頸を削いでいく。...否、無心というわけではない。心を殺し、仲間の死を振り返らずに前のみを見続ける。あの時決めた覚悟を胸に、後悔の気持ちを置き去りにして。

壁外調査も中盤に差し掛かった頃。エルヴィンの分隊が試験的に取り組んでいる小規模での長距離索敵、その伝令の信号弾が突如の巨人との会敵を報せた。500mほど離れた場所で馬を進めていたリヴァイがその場に辿り着いた頃には、兵士達はすでに巨人の腹の中であった。最後に僅かに残った兵士達も、重傷を負い、身体の一部が食われている者もいる。ここは地獄だ。そうはっきりと思い出したリヴァイは、巨人に対して容赦をすることはなかった。

リヴァイを中心に手練れの兵士達がその場にいた4体の巨人を討伐し終えた頃、エルヴィン達が所属する本隊も記録のために現場へとやって来た。安全を確認したのちに、彼らは遺族への報告のための物品の回収や戦死者の報告を受けなければならない。

巨人の討伐数申告もこの時行われ、リヴァイもエルヴィンと彼の補佐官のエミリーに報告を行う。目を覆いたくなる程の周囲の悲惨な状況に、エルヴィンは顔色を変えることなく、淡々とその作業をこなしている。他の本隊所属の経験豊富な兵士達もショックを受けてはいるが、それを任務中に表情に出す者はいない。

しかしそんな中、一人青ざめた顔色で先ほどから一言も発さない人物がいる。それは、あのエルヴィンの補佐官のエミリーだった。しかしその表情の変化というのも些細なもので、彼女の異変に気付いていない兵士も多い。エルヴィンも気がついているのかいないのか、それに触れることはない。リヴァイはたまらず報告の後彼女の元へ駆け寄ると、その小さな身体が少し震えていることに気がついた。

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