第1章 Episode 01
彼女から贈られた茶葉は、香りが落ちないうちに湯を沸かして紅茶として注がれる。丁度その場に居合わせたハンジやモブリットといったいつもの面子と午後の休憩を取ることになり、彼らにも振る舞われた。
「_いやー。でもやっぱり次の壁外調査でこそは巨人の一体は捕まえてみたいなー。なんたって、前回に巨人の捕獲が成功したのは何年も前だっていうじゃないか」
「もうハンジさん。それまたシャーディス団長の前で言ったら、今度こそは会議での発言禁止令がでるんですから。やめてくださいよ」
「だとよ、クソメガネ。いい加減モブリットの言うことを聞いてやれ」
「そんなぁー」
ハンジは残念そうにため息を吐くと、机に突っ伏する。調査兵団きっての変人で巨人を愛する彼女は、言い換えれば常に新しい視点を持って巨人に向き合っている。リヴァイも彼女の主張を完全には否定しない一方で、何度も聞かされたこの手の話にうんざりしているというのが現状だ。部下のモブリットは小言を吐きながらも、よく耐えている方だと思う。
「でも私、思うんだよ。今の調査兵団は何かが変わって来ている。ここまで生き残って来て、やっと巨人の研究にも携わることになったんだ。チャンスを作る努力は続けるつもりだよ」
「ハンジさん...」
「だからモブリット、リヴァイ。二人も協力してよね」
「はぁ...」
今回の壁外調査では、残念ながらハンジが夢見る巨人捕獲作戦は実行されない。それが実現できるかは、今後の壁外調査の動向次第である。巨人にたち向かい、自由への渇望を止めない。それが人類に残されたこの世界への対抗手段である。
第24回壁外調査は、すぐ目前へと迫っていた。