第11章 Vivit Color@忍足侑士 ❦
「あ、私が読んだのは光〇社から出ていたものなので」
「岩〇書店のは読んだこと無い?」
「はい」
「翻訳もんは、ストーリーが気に入ったんやったら、出版社変えて読んだらおもろいですよ。原文の意訳がちゃうし」
「なるほど、そういう楽しみ方もあるのですね」
新しい発見です、と頷く紫雨。
「そのような楽しみ方もできるほど、侑士さんは読書家でいらっしゃるんですね」
「静かなんが好き言うだけです」
「ヴァイオリンとテニスも嗜まれるとか」
「正直、ヴァイオリンは最近触っとらんですね
テニスは、最近は、たまに同級生と予定があればちぃと打ち合う程度です」
「でも、どちらも幼少期から続けていらっしゃるのでしょう?
私はそういったものがないので、素敵です」
「洋裁は、どないなもの作らはるんですか?」
「お洋服とか、小物とか...
最近だと、友人からのリクエストで、パーティ向けのバッグとぬいぐるみを作りました」
「いや、普通にすごいやん。
バッグって個人で作れるもんなん?」
「パーツや機材があれば、作れちゃうんですよ」
そうだ、と手にしていたバッグを開ける。
「こんな感じのものです」
彼女が取り出した携帯の画面をのぞき込むと、サテンプリーツのクラッチバッグと、ふわふわとしたウサギのぬいぐるみの写真。
「お子様のファーストトイに、と作らせていただきました」
「普通に売りもんやんか」
想像以上やわ、と本心で驚く。
「キットとかやなくて、布から作るん?」
「はい。
完成図をデザインして、それをもとにパターン...紙で生地をどんな形に切るか考えて、裁断、縫製します」
ハンドルや装飾は、既製品のパーツを使ったりレジンなどで作ったりします、と微笑んだ顔から、緊張が少し、溶けて見えた。
「好きなんやね、ものづくり」
「素人の手遊びですけれど」
「そないなことないと思うで。
やっぱ、洋服作るんがいっちゃん好き?」
「お洋服も好きです。
あとは、バッグ、コサージュ、モチーフ、ぬいぐるみ...今ハマってるのは...あの...子供服を、作る、事で...」
恥ずかしそうに、照れたように笑った。
「友人が次々とお母さんになっていくものですから、つい...」
小ささがもう可愛くて、と綻んだ顔に、(子ども、好きなんやなぁ)と、少し、力が抜けた。
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