第11章 Vivit Color@忍足侑士 ❦
玄関扉の音と、どんなに低くても耳に届く独特のイントネーションによる、ただいま、の声に、パタパタと玄関に向かう。
「お帰りなさい。侑士さん」
いつもなら、ただいま、と微笑んでくれる夫はいつもより雑に靴を脱ぐと、ちゃんとリビングの定位置に持っていく鞄をドサ、とその場に落とし、寝室のクローゼットにしまうジャケットを脱いで、その上に放った。
「侑士さん?」
無言で細身のネクタイを解き、紫雨、と呼ぶ。
「シよ」
「はいっ!?」
彼に驚いて見上げると、うざったそうに外したネクタイをシャツの胸ポケットに入れる。
「いやか?」
ふーっ、と長く息をつき、くしゃ、と前髪を掴んで乱す。
ぐしゃぐしゃと髪を掻いて、腰に手を当てる姿は、どうも苛ついているようだ。
親の決めたお見合いで結婚した彼の細い腰に抱きつく。
「いいですよ」
寝室に行きますか?と微笑みかけると、トン、と肩に額を当てる夫。
「すまん、ちょっと...イラついてんねん」
堪忍ね、と腰を抱く腕。
「珍しいですね、こんなに乱されるなんて」
毎朝、出勤前に襟足で縛る彼の髪を解く。
ヘアゴムを手首にかけ、髪をほぐすように指を通す。
「紫雨」
「ん、」
ス、と離れた侑士は、片手で包み込むように頭を支えて、深く、キスをした。
夕飯を作ろうと身につけていたエプロンの脇から差し込まれた彼の手が、器用に中に着ていたシャツをたくし上げ、キャミソールとブラジャーを引き下げた。
「あ、」
クニ、と摘まれた先端に顔を俯けると、エプロンから手を出し、身体に沿わせるように撫でた手で腰を掴む。
「かわええな、このエプロン」
「ん、恵里奈さんが、くださったものですよ」
「ああ、そうやったんや」
義姉が、新婚と言えばやろ!とずいぶん可愛らしいエプロンを何枚かくれたのは、新居に越した時。
身体にピタリと沿わされたエプロンの左右に現れた突起に顔を逸らすと、せや、と言った彼に抱き寄せられ、背中のホックを外された。
「脱げるか?」
「ん、はい」
エプロンの隙間からシャツとキャミソール、下着を脱がされた。
トン、と背中に廊下の壁が当たると、押し付けられるようなキス。
スリ、と腰からお尻を撫でる手がフレアのスカートをたくし上げた。