第21章 Psalm 121:1-3
外に出たらすっかりと夜だった。
コインパーキングの精算を済ませて外に出ると、ちょうど西島が翔を抱きかかえて出てきたところが見えた。
マンションの前の道路に車をつけると、西島がこちらに歩いてきた。
「これおまえの車か?」
「まあ…仕事用」
「ふうん」
黒のハイエースの後ろのドアを開けた。
後部座席のシートは予め倒してあった。
「ここに寝かせてくれ」
「ああ」
翔は深く眠っているのか、目を覚まさなかった。
持ってきた布団を翔に掛けて、西島と二人で無理やりシートベルトで体を固定した。
そのまま運転席に戻ると、西島は助手席に乗り込んだ。
「今からいう住所にやってくれ」
「ああ」
住所をナビに入れ、車を発進させた。
カーラジオからは古い洋楽が流れていた。
「…桜井病院の息子ってことか?」
やっぱり、気づいてたか。
これはもう隠し果せることなんてできないと観念した。
「ああ。そうだ」
「なんてこった…あの頃、まだ医学生だったろ…?」
「もうあれから8年は経ってる」
西島は前髪をぐしゃりと掻き上げた。
「ということは…国試にストレートで受かっていたとして、いま専攻医か…早いもんだなあ…そりゃ年も取るわけだ」
なんだか年寄りくさい事を言うから、笑ってしまった。