第20章 Romans5:3-4
コーヒーを飲みながら、とりあえず沢村といつも一緒にいた若い社員の男の顔を探した。
滝藤とかいう奴の作ってくれた資料は見やすくて、懐かしい顔を見つけて名前を探すのに便利だった。
父さんと仲が良かった常務の松重のおじさんの顔を見たら顔が緩んだ。
「元気にしてるんだ…」
よかった。
なんだか知らないけど、安堵した。
この人が元気な限り、おじさんの家族も元気で過ごせるんだろう。
「あ…」
見覚えがあるけど、また名前の出てこないおじさんの写真が出てきた。
「誰だっけこれ…確か偉い人だったよな…」
裏の番号を頼りに滝藤の作った資料を探した。
「あった…国村、隼さん…」
このおじさんは笑うと人懐こい感じだけど、黙っているととても怖い顔をしている。父さんよりも年上だから、偉い人だと思っていたけど総務部の部長だった。
「でも、取締役か…」
大野製作所の偉い人というのは当たっていたようだ。
思い返せば、社長である父さんのこの人への態度は丁重なものだった気がする。
「フィリピン在住…?」
確か沢村もマニラに住んでいたはず。
アイツも総務部だった。
金魚のフンみたいな若い男も、総務部所属だったはず。
これは偶然なのか…?