第20章 Romans5:3-4
エレベーターのドアが開いたと思ったら、中から人が出て来て俺にぶつかりそうになった。
「あっ…」
そいつは慌てた様子で止まって、胸に手を当てた。
「すいませんでした」
無視するのも相手の印象に残ってしまうと思って視線を上げた。
顔を見て、心臓が飛び出るかと思った。
松本潤だった。
爺さんに何度も見せてもらった画像でしか見たことはなかった。
リアルな松本潤を見るのはこれが初めてだった。
「急いでいて」
落ち着いた声で言うと、軽く頭を下げた。
その仕草は上品で育ちの良さがにじみ出ていた。
画像で見たときは濃い顔だなとしか思わなかったが、現実で見たら色白でまつ毛も長くてエキゾチックな綺麗な顔立ちをしてる。
長めのパーマの前髪が目に掛かってるのが、それを引き立たせていた。
「いえ…」
そう言ってキャップのツバを軽く持つと、松本潤は軽く微笑んで足早にエレベーターホールから出ていった。
今日も、翔の様子を見に来たのか。
なんだか胸の中が複雑な感じだった。
あんないい男だったんだ…松本潤…
もしかしたら翔はもう俺のことなんか忘れてたりして。
…いや
俺達家族のことを、ずっと調べていてくれたと聞いた。
多分翔の気持ちは…
俺と変わらないはず。
でも、松本潤の顔をみてしまったいま、胸のざわめきは取れなかった。